壁の中からカリカリ音がする原因は?正体を見分ける5つのポイントと対処法

夜、寝室の壁の向こうでカリカリと音がする。眠れないまま朝を迎えた。ネズミなのか、もっと大きな動物なのか、それとも家の音なのか。壁の中は覗けないまま、不安だけが残っていませんか。

結論からお伝えすると、夜間に続く小さなカリカリ・ガリガリという音の第一候補はネズミです。ただし建物内では音が壁や梁を伝わるため、音だけで動物の種類や発生場所を断定することはできません。時間帯/音の種類/フン・かじり跡/におい/侵入口の5項目を組み合わせて絞り込みます。この記事では、音の質から候補を整理したうえで、痕跡から絞り込む5つの確認ポイント、今夜できる対処と避けるべき行動、そして法律を踏まえた相談先までをまとめます。

編集部にも同じ経験があります。最初の一晩は音がするたびに壁を叩き、静かになってはまた鳴り出す、というのを明け方まで繰り返しました。翌朝いちばんに検索したのが「壁 カリカリ 音 何」でした。同じ状態でこのページを開いている方に向けて、まず何を確認すればいいかを整理します。

本記事は、壁を開ける、屋根に登る、点検口のない天井裏へ立ち入るといった作業を推奨しません。転落・粉じん・動物との接触の危険があります。焦げ臭いにおいがする、煙が出ている、ガス臭い、ブレーカーが繰り返し落ちる、動物が室内に出てきた、噛まれた・引っかかれたという場合は、観察を続けずに本文中の緊急連絡先または専門業者へご相談ください。制度に関する記述は2026年9月時点で公式資料により確認したものです。

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ケモノシル編集部

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ケモノシルは、獣害対策と狩猟に特化した専門メディアです。家屋への動物の侵入、農作物の被害、野生鳥獣に関する法令や自治体の制度、狩猟の基礎知識などを発信しています。編集部では、環境省・厚生労働省・自治体などの公的機関が公開する資料を確認しながら、獣害に悩む方に情報をわかりやすくお届けします。

まずは、聞こえている音がどの候補に近いかを確認してください。

候補音と時間帯一緒に現れやすい痕跡次に確認すること
ネズミカリカリ、ガリガリ、カサカサ/主に夜間小さなフン、かじり跡、黒い擦れ跡フンの有無と侵入口の候補
イタチ・テンなどドタドタという足音/夜間に気づきやすいまとまったフン、強い獣臭天井裏・床下からの音かどうか
コウモリ羽ばたき音、這う音、鳴き声/日没前後軒下や外壁下のフン夕方の出入りの有無
配管・家鳴りなどコン、ミシッ、ピキッ/水使用時や寒暖差の時間生き物の痕跡がない設備の使用や気温との連動

1行に当てはまったからといって正体が決まるわけではありません。以下では、候補の整理と絞り込みの手順を順に見ていきます。

目次

壁の中のカリカリ音はネズミが第一候補だが、別の原因もある

壁の中のカリカリ音はネズミが第一候補だが、別の原因もある

この章では、聞こえている音の種類ごとにどの原因が候補になるのかを整理します。具体的な確認方法は次章で解説します。

小さなかじり音が夜に続くならクマネズミやハツカネズミを疑う

カリカリ、ガリガリという「かじる音」の第一候補がネズミである理由は、歯の構造にあります。ネズミの前歯(門歯)は一生伸び続けるため、硬いものを狙ってかじる習性があります。このように生涯伸び続ける歯を常生歯(じょうせいし)と呼びます。かじられるのは食品だけでなく、木製品や配線コードなども対象になり、コード類の被害は火災の原因にもなり得るとされています(出典:岡山市「ねずみ」リーフレット)。

住宅内で問題になりやすいのはクマネズミです。よじ登る能力が高く、天井裏や壁内を移動しやすい種で、通り道は黒く汚れやすく、これはラットサインと呼ばれています(出典:千代田区「ねずみの種類・特徴と対策」)。ほかに、下水管などを通って地上周辺で活動するドブネズミ、小型のハツカネズミが屋内で見られます(出典:台東区「ねずみの防除」)。

ただし、カリカリ音が聞こえたからといってネズミであると決めつけることはできません。あくまで最初に確認すべき候補として扱ってください。フン・こすり跡・かじり跡など、ネズミが残す痕跡を7つに整理した「家にネズミがいる7つのサインを解説!フン・音・痕跡の見分け方と対処法」もあわせてご覧ください。

ドタドタした足音が混じるならイタチなどの可能性がある

細いかじり音ではなく、走り回るような音や重い物音が混じる場合は、ネズミより体の大きい動物が候補に入ります。イタチは体長30〜40cmほどの胴長の動物で、垂直の壁も登ることができ、わずか3cmの隙間でも通り抜けられます。雨どいや木の枝を伝って通気口などの隙間から侵入し、天井裏に住み着くことがあります(出典:大阪市東成区「イタチでお困りの方へ」)。ハクビシンやアライグマも住宅に侵入しますが、これらは壁内よりも天井裏や軒裏に定着する候補です。

ここで押さえておきたいのは、音が壁の中から聞こえているように感じても、実際には天井裏や床下にいる動物の音が壁を通じて伝わっている場合があるという点です。壁の内側は柱と柱の間の狭い空間であり、体の大きい動物が長時間とどまるには適していません。足音が聞こえた時点で、天井裏や床下も含めて発生源を考えてください。天井裏の足音を時間帯・音・フンから絞り込む手順は「天井裏から足音がするのは何の動物?時間帯・音・フンから見分ける方法」で詳しく解説しています。

羽音や鳴き声が伴うならコウモリの可能性を確認する

パタパタという羽ばたき音、壁面を這うような接触音、キィキィという鳴き声が伴う場合は、コウモリが候補になります。住宅に入り込むアブラコウモリは一般住宅の天井裏などに好んで営巣し、日没後に活動します(出典:公益社団法人東京都ペストコントロール協会「コウモリの種類と違い」)。確認したいのは、日没前後の決まった時間帯に出入りする様子があるか、軒下や外壁の下にフンが落ちていないかの2点です。

侵入口の目安として、鳥取県は1cmほどの隙間があればコウモリは出入り可能であるとし、フンが落ちている場所などが侵入口と考えられると案内しています(出典:鳥取県「野生鳥獣の捕獲等に係るよくある質問」)。なお、コウモリは繁殖期や冬眠期の扱いに注意が必要ですが、この点は後半の封鎖の説明でまとめて解説します。

水の使用や寒暖差と連動するなら配管音・家鳴りも確認する

壁の中の音は、生き物以外が原因の場合もあります。次のような音は建物側の要因が候補になります。

  • 配管音:水道使用時に壁内から発生する音
  • 家鳴り:木材や金属が温度変化で伸縮する音
  • 外装材の音:強風時に外壁材や板金がきしむ音

判断の手がかりは連動性です。水を流したとき、エアコンを入れたとき、朝晩の冷え込みが強いときに合わせて音が出るのであれば、生き物以外の可能性が高まります。なお、壁際に木くずのような粉が落ちている場合は木材害虫も候補になりますが、シロアリと自己判断せず、住宅点検を扱う専門業者に見てもらってください。

ケモノシル編集部

今夜すぐできるのは、音がした時刻と場所をメモに残すことだけで十分です。それが翌日からの判断材料になります。

正体を絞り込む5つの確認ポイント

正体を絞り込む5つの確認ポイント

単独のサインだけでは正体を断定できません。ここでは、複数の痕跡を組み合わせて絞り込むための5つの確認手順を解説します。

フン、足跡、かじり跡、通り道の汚れなど、動物が残す痕跡をフィールドサインと呼びます。本記事では、音と複数のフィールドサインを組み合わせて候補を絞っていきます。

獣害対策の現場では、動物そのものを見られることはほとんどありません。見えるのは痕跡だけです。だからこそ、フンの位置、爪跡の向き、通り道の汚れといった情報を組み合わせて「何が、どこから来て、どこへ抜けたのか」を組み立てていきます。住宅の壁の中も同じで、音だけを頼りにすると外しますが、痕跡を並べると一気に候補が絞れます。

①音がする時間帯・長さ・設備との連動を記録する

最初にやるべきことは、音を止めることではなく記録することです。まず一晩、次の項目をメモしてください。それで判断できなければ、数日分を記録します。

記録項目記入例
発生時刻23:40〜23:55
継続時間約15分、断続的
聞こえた場所寝室北側の壁、床から1mくらい
水道・エアコンの使用使用なし
その日の気温変化夜間に急に冷え込んだ

ただし、焦げ臭いにおいがする、家電やブレーカーに異常がある、強い悪臭があるといった場合は、記録を続けずにすぐ相談してください。該当する状況は後述の「すぐ相談すべきサイン」にまとめています。この記録は、そのまま管理会社や業者への説明資料になります。

②音の種類・移動方向・発生場所を記録する

時刻と合わせて、音そのものの質を記録します。次の観点で整理してください。

  • 音の質:カリカリ、カサカサ、ドタドタ、羽音、鳴き声
  • 移動の有無:一点で鳴るか、横や上下へ移動するか
  • 音の高さ:壁の下のほうか、天井に近いほうか

同じ方向へ移動して聞こえる場合は、壁内を移動している可能性もあります。ただし音の伝播だけでは判断できません。壁の内側は木材や石膏ボード、断熱材で構成されており、音が反響したり、離れた場所の振動が壁を伝わって届いたりするため、実際の発生場所と聞こえている場所が一致しないことは珍しくありません。

文字のメモに加えて、スマートフォンのボイスメモで音がしている時間帯を数分間録音しておくと、管理会社や業者へ共有する際にそのまま使えます。ただし録音はあくまで補助資料であり、音声だけで動物の種類を特定できるわけではありません。

③フン・かじり跡・黒い擦れ跡を安全に確認する

4種のフン・かじり跡・黒い擦れ跡を比較する画像

音の次に手がかりになるのが、目に見える痕跡です。手の届く範囲で、次のものを探してください。

  • フン:床の隅、天井のシミ周辺、軒下、外壁の下
  • かじり跡:柱の角、配線の被覆、収納内の木部
  • 黒い擦れ跡:壁際や配管まわりのラットサイン

フンについては、ネズミは小さな粒状のものが散らばりやすく、イタチやハクビシンは同じ場所に繰り返し排泄する「ためフン」の習性が知られています。コウモリのフンは昆虫食のため乾燥して崩れやすく、出入り口の真下にまとまって落ちる傾向があります。ただしこれらは目安であり、形状や大きさだけで種類を判定すると誤ることがあります。写真は判断材料になりますが、写真だけで確定できない場合もあります。イタチ・テン・ハクビシン・アライグマのフンや足跡の違いは「イタチ・テン・ハクビシン・アライグマの違い!足跡とフンで見分ける」で比較しています。

この段階では、触らず、乾いた状態で掃いたり掃除機をかけたりせず、離れた位置から写真を撮るにとどめてください。厚生労働省は、気づかずに排泄物に触れた手を口に持っていくことで感染することがあると説明し、野生動物にむやみに触れないよう呼びかけています(出典:厚生労働省「動物由来感染症を知っていますか?」)。フンが大量にある、狭い場所に堆積している、強い悪臭がある場合は、自力で清掃せず業者へ相談してください。

編集部でも、フンの写真を見比べて「これはネズミだろう」と当たりをつけたものの、後で確認したら別の動物のものだった、という経験があります。乾き具合や潰れ方で見え方が変わるため、写真だけでの判定は本当に難しいと感じています。

④におい・シミ・巣材を補助サインとして確認する

痕跡が見つからない場合でも、においや建物の変化が手がかりになることがあります。尿のようなアンモニア臭、動物特有の獣臭が特定の部屋だけで強い場合、その付近に発生源がある可能性があります。断熱材のちぎれた破片、紙やビニール、布の切れ端が押入れや床下収納の隅に落ちている場合も、営巣のために持ち込まれたものかもしれません。

天井や壁のシミも確認対象ですが、これだけで動物の存在を示す決め手にはなりません。同じ場所で音とにおいが重なるかを見てください。逆に、動物の痕跡がないままシミが拡大していく場合は、雨漏りや配管の漏水の点検が必要です。天井のシミを含め、ハクビシンが住み着いたときに現れるサインは「ハクビシンが家にいるサイン8選!他の害獣との見分け方と安全な初動」で整理しています。

⑤家の外周を地上から確認し侵入口の候補を探す

⑤家の外周を地上から確認し侵入口の候補を探す

最後に、建物の外側を地上から一周して、動物が入り込めそうな箇所を探します。隙間の目安は動物によって異なります。ネズミについて千代田区は、侵入口が1cm以上あればかじって穴を広げて侵入すると案内しており、港区は2cmほど(5円玉くらい)の穴や隙間から侵入できるとしています(出典:港区「屋内のねずみ対策」、千代田区資料は前掲)。いずれも目安であり、その大きさの穴を必ず通れるという意味ではありません。イタチは前述のとおり3cmほどの隙間が目安です。次の場所は特に確認しておきたいポイントです。

  • 貫通部:配管やケーブルまわりの隙間
  • 基礎:通気口や換気口の破損
  • 屋根まわり:軒下、屋根と外壁の接合部
  • 雨どい:支持金具まわりのすき間

壁の中の音は、床下換気口や外壁のひび割れから壁内に入り、そのまま屋根裏へ抜けていく経路で起きていることがあります。屋根から直接入る経路と壁内を登る経路の違い、確認すべき7カ所は「屋根裏の動物はどこから入る?侵入口7カ所を図解!追い出してから塞ぐ」で断面図にしています。

この段階でやるのは、写真と場所の記録までです。正体と、建物内に動物が残っている可能性を確認できていない状態では、自己判断で隙間を塞がないでください。理由は次章で詳しく説明します。また、屋根に登る、はしごで高所を点検する、点検口のない天井裏に潜り込むといった作業は、転落や踏み抜きの危険があるため行わず、地上から見える範囲の確認にとどめてください。

ケモノシル編集部

痕跡を見つけたら、その横に定規やコインを置いて1枚撮っておいてください。大きさが分かるだけで、後の相談がぐっと早く進みます。

放置する3つのリスクとすぐ相談すべきサイン

放置する3つのリスクとすぐ相談すべきサイン

「うるさいだけなら様子を見よう」と考えたくなる場面ですが、放置によって起きうる問題は騒音だけではありません。ここでは3つのリスクと、経過観察をやめるべき判断基準を整理します。

配線や電気製品をかじられると短絡・発煙・火災につながることがある

製品評価技術基盤機構(NITE)は、小動物や害虫がエアコンやガスふろがまなどの製品内部へ侵入し、基板に接触したり内部配線をかじったりしてショートや火災につながった事例を公表しています。具体例として、ネズミが冷蔵庫の電源コードをかじって断線させ、ショートによって火災が発生した事例が挙げられています(出典:NITE「身近な動物が思わぬ火災事故を引き起こします」)。

ただしこれは製品事故情報をまとめた資料であり、住宅の壁内配線そのものの事故件数を示すものではありません。NITEは、製品の外観からは分かりにくいため、点火しにくいなどの動作不良が生じた際は必ず点検を受けるよう呼びかけています。

フン尿による汚染やダニ・ノミ、悪臭の原因になる

2つ目は衛生面の問題です。ネズミは食品を食い荒らすだけでなく、サルモネラ菌や赤痢菌などを媒介したり、ネズミに寄生しているイエダニが人を吸血するなどの衛生上の被害を発生させるとされています(出典:荒川区「ネズミの上手な退治法」)。

コウモリの場合は、天井裏に糞尿が堆積して臭いや汚損の原因になるほか、堆積したフンがカツオブシムシ類などの害虫の発生源となる可能性が指摘されています(出典:東京都ペストコントロール協会、前掲)。単に「汚いから掃除する」のではなく、汚染の除去まで含めた対処が必要になるということです。

繁殖や移動によって被害範囲が広がる可能性がある

3つ目は、時間の経過とともに状況が変化することです。次のような変化が見られたら、経過観察の段階を越えていると考えてください。

  • 音の広がり:複数の場所から聞こえるようになった
  • 時間帯の変化:昼間にも音がするようになった
  • 痕跡の増加:フンやにおいの量が明らかに増えた
  • 建物の変化:天井のシミが広がってきた

放置すれば必ず高額な修繕費がかかる、と断定することはできません。ただし、汚染が及ぶ範囲、交換が必要な断熱材、点検すべき配線、封鎖すべき侵入口が増えるほど作業範囲が広がり、費用や工期に影響しうるという関係はあります。早い段階で状況を把握しておくほうが、選べる選択肢は多くなります。

経過観察ではなく、すぐに相談すべきサインと連絡先

  • 煙や炎がある:安全な場所へ避難して119番へ通報する
  • ガス臭い:火気を使わず、換気扇や電灯などのスイッチには触れずに、可能な範囲で窓を開けて換気し、ガス事業者へ連絡する
  • ブレーカーが繰り返し落ちる:復旧を繰り返さず点検を依頼する
  • 家電の焦げ臭・異常発熱:使用を中止し修理窓口へ相談する
  • 噛まれた・引っかかれた:石けんと流水で洗い医療機関へ相談する

ガス臭を感じたときの対応は政府広報オンライン「ガスを安全に使おう!」、動物由来感染症については厚生労働省の案内(前掲)に詳しく示されています。

上記に当てはまる場合は、音の記録や痕跡の確認を続けず、先に安全の確保と各窓口への連絡を優先してください。

今夜できることと、やってはいけない対処

今夜できることと、やってはいけない対処

正体がまだ分からない段階でも、今夜のうちにできることがあります。同時に、良かれと思ってやると事態を悪化させる行動もあります。両方を押さえておきましょう。

音と痕跡を記録し、食品やゴミを密閉する

前章で紹介した記録は今夜から始められます。加えて取り組みたいのが、動物を引き寄せる要因を減らすことです。ネズミは雑食で、人間の食べ物はもちろん生ゴミやペットフード、せっけんなども餌になります。港区(前掲)は、食べ物を戸棚や冷蔵庫、蓋付きの容器に入れて出しっぱなしにしないこと、生ゴミは蓋付きの容器に入れること、ペットの餌は食べ残しが出ないようにすることを案内しています。今夜は次を確認しましょう。

  • 食品:開封済みのものを密閉容器か冷蔵庫へ移す
  • ペットフード:出しっぱなしにしない
  • 生ごみ:蓋つきの容器に入れる
  • 水気:シンクの水滴を拭き取る

なお、壁を叩いて一時的に音が止まっても、動物がいなくなったとは判断できず、根本的な解決にはなりません。カメラについては、安全に手が届き、かつ設置する権限がある場所(床下収納の入口や外周の疑わしい隙間の付近など)があれば補助的な手段として使えます。ただし高所や天井裏への設置は避け、賃貸で共用部にあたる場所へ置く場合は事前に管理会社の許可を取ってください。

壁を壊す・毒餌だけに頼る・確認せず侵入口を塞ぐのは避ける

次の3つは、自己判断で行うと状況を悪化させます。

第一に、壁を開ける行為です。壁の内側には柱や筋交いといった構造材、断熱材、電気配線、場合によっては給排水管が通っています。音のする場所を狙って開口すると、これらを損傷する危険があります。開口が必要かどうかは、調査した業者が判断すべきことです。

第二に、毒餌(殺鼠剤)です。使用する場合は次の点に注意してください。

  • 使う前に:ネズミと確認できていない段階では使用しない
  • 使い方:商品の表示と使用方法を必ず守る
  • 置き場所:子ども・ペット・対象外の動物が触れない場所へ
  • その後:死骸回収・餌の管理・侵入口対策まで考える

使い方によっては壁の内側や天井裏で死骸が残り、悪臭や害虫の発生につながります。港区も、ねずみの好む環境がある限り、殺鼠剤や粘着板による駆除を行っても十分な効果が得られない可能性があるとして、餌や隠れ場所をなくす「環境的防除」を基本に位置づけています。より詳しい防除の考え方は、東京都保健医療局「都民のためのねずみ防除読本」も参考になります。

第三に、そして最も避けたいのが、動物が中にいるかどうかを確認しないまま侵入口を塞ぐことです。中に閉じ込めてしまえば、その動物は出られずに死に、死骸が臭気や害虫の発生源になります。鳥取県(前掲)はコウモリへの対処において、封鎖時に家の中にコウモリが取り残されないよう注意すべきであり、残っていると閉じ込めて死なせてしまい、死体が臭気や害虫の発生源になると明記しています。あわせて、まだ飛べない幼獣のいる時期(6〜8月)や、冬眠前後の時期を避けて封鎖するよう案内しています。封鎖はあくまで、動物がいなくなったことを確認した後の作業です。

編集部の経験でも、閉じ込めの怖さは、あとから来る臭いでした。塞いだ数日後に、それまでとは種類の違う臭いが室内に回り始めます。そうなると壁や天井を開けて回収するしかなく、最初に急いで塞いだことが結局いちばん高くつきます。「まず塞ぐ」を止めているのは、この順序を間違えたときの代償が大きすぎるからです。

ケモノシル編集部

「とりあえず塞ぐ」がいちばんやりたくなる対応ですが、いちばん高くつく対応でもあります。順番だけは守ってください。

正体が分かった後の正しい対処法と相談先

正体が分かった後の正しい対処法と相談先

正体の見当がついたら、次は「自分で対処してよいのか」の判断です。ここは動物の種類によって扱いが大きく変わる部分であり、順序を誤ると法律に触れるおそれもあります。

自分で対処できる範囲は動物の種類と法律で異なる

判断の出発点は鳥獣保護管理法です。押さえるべきポイントは次の3点です。

  1. ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの「いえねずみ類3種」は、同法第80条の規定により法律の対象外とされている
  2. したがって、この3種であれば鳥獣保護管理法上の捕獲許可は不要である
  3. イタチ・テン・ハクビシン・アライグマ・コウモリなどは、許可なく捕獲・殺傷できるとは限らないため、着手前に自治体へ確認する

1点目と2点目の根拠は、環境省「鳥獣保護管理法の概要」および鳥取県(前掲)です。ただし2点目は「何をしてもよい」という意味ではありません。賃貸物件での作業の可否、薬剤の使用方法、建物への加工などは別の判断が必要です。3点目について大阪市東成区(前掲)は、イタチは許可なく捕獲することが禁止されているとしたうえで、まずは追い出す方法を試すよう案内し、それでも出ていかない場合の捕獲には事前に許可が必要であると説明しています。

なお、違法な捕獲は鳥獣保護管理法第83条により罰則の対象となります(出典:環境省「野生鳥獣の違法捕獲の防止」)。

追い出し・不在確認・清掃・侵入口封鎖・経過観察の順に行う

捕獲や追い出しに成功した時点、あるいは隙間を塞いだ時点で終わりではありません。基本の流れは次のとおりです。

  1. 正体と侵入口の確認
  2. 動物に応じた適法な追い出し・捕獲(許可が必要な動物は先に自治体へ確認)
  3. 残留個体の確認
  4. 死骸・フン尿の回収と清掃・消毒
  5. 侵入口の封鎖
  6. 一定期間の経過観察

ただし、追い出しと封鎖のタイミングは、動物の種類・繁殖時期・建物構造によって異なります。すべての動物に共通する絶対的な順番ではありません。たとえばコウモリでは、外へ出ることはできるが戻れない構造の器具を使い、一方向に退出させる処置が必要になる場合があり、単純に「追い出してから穴を塞ぐ」だけでは済みません。

封鎖の材料としては、大阪市東成区(前掲)が金属たわしや金網、金属製ネットを例示しています。ただしこれは例示であり、換気口や排水経路をふさいで結露や排気不良を招かないか、防火上の性能を損なわないかを踏まえて、材料と施工方法を選ぶ必要があります。

賃貸・持ち家の相談先と駆除費用・見積もりの確認ポイント

賃貸住宅の場合は、自分で業者を手配する前に、これまで記録してきた発生日時・写真・録音を添えて管理会社または大家へ連絡してください。

費用負担は、侵入した時期、建物の構造、入居者の管理状況、契約内容によって異なります。入居後の侵入だから必ず借主負担、構造上の隙間だから必ず貸主負担、と一般化することはできません。参考として、公益財団法人不動産流通推進センターの相談事例では、原則として入居後にネズミが侵入したとしても貸主に駆除等の義務はないとする一方、契約前から建物構造上すでに侵入経路があった場合や巣・被害がある場合は貸主の責任で対応する必要があるとしています(出典:不動産流通推進センター「建物賃貸借契約におけるネズミ駆除の費用負担の帰属」2022年2月掲載)。これは個別の相談に即した回答であり、一般的な法的結論として断定できるものではありません。

費用感については、壁内の害獣対策は動物の種類だけでなく、調査範囲、追い出し・捕獲、清掃、封鎖箇所数、足場や開口・補修の有無によって総額が変わるため、音だけで費用を見積もることはできません。持ち家の場合は複数社に同じ条件で見積もりを依頼し、次の項目が書面に明記されているかを確認してください。

確認項目見るべきポイント
調査調査範囲と費用の有無
追い出し・捕獲許可申請の要否と代行の可否
死骸回収作業に含まれるか別料金か
清掃・消毒対象範囲と断熱材の交換有無
侵入口封鎖箇所数と使用する材料
補修開口した場合の復旧範囲
追加料金発生する条件
保証内容・期間・再発時の対応

上の項目それぞれについて、金額の目安、料金が変わる条件、「一式」表記で確認すべき点、そして侵入口の封鎖と清掃を分けて総額を見る考え方は、「害獣駆除の費用相場はいくら?種類別料金・見積もりの内訳と安く抑える方法」で解説しています。

次のいずれかに当てはまる場合は、専門業者の現地調査で、動物の種類・侵入口・作業範囲・追加料金の条件・保証内容を確認する段階です。

  • 確認できない:壁の中や高所を直接見られない
  • 種類が不明:痕跡を照合しても候補が絞れない
  • 範囲が広い:複数の場所から音がする
  • 汚染がある:強い悪臭、広範囲のフン尿、天井のシミ
  • 許可が関係する:コウモリやイタチの可能性がある

これらが口頭説明だけで書面に残らない場合は、契約を急がず他社の見積もりも取ってください。業者の探し方が分からない場合は、まずお住まいの自治体の保健所や生活衛生担当窓口へ相談してください。ネズミは保健所、アライグマやハクビシンなどの野生鳥獣は環境担当課と、正体によって窓口が変わります。市役所がどこまで対応してくれるか、電話で何を伝えればよいかは害獣被害は市役所に相談できる?対応範囲・窓口・5つの支援で整理しています。

多くの自治体は、各都道府県のペストコントロール協会を紹介しています(公益社団法人日本ペストコントロール協会|都道府県協会一覧)。

壁の中や高所の確認が必要な場合、動物が残っている可能性がある場合は、自分で開口や封鎖をせず、動物種と侵入口を現地で確認できる専門業者、またはお住まいの自治体の窓口へご相談ください。

ケモノシル編集部

窓口に電話するときは「壁の中から動物の音がする」と用件を先に伝えると、担当部署へ早くつながりますよ。

まとめ:まず音と痕跡を記録し、正体に合った方法で対処しよう

壁の中から聞こえるカリカリ音の第一候補はネズミですが、音だけで動物の種類や発生場所を断定することはできません。時間帯・音の種類・フンやかじり跡・におい・侵入口という複数のサインを組み合わせて絞り込んでいきます。今夜できることは、発生時刻と場所を記録し、離れた位置から痕跡を写真に残し、食品やゴミを密閉することです。逆に、音のする場所の壁を開けたり、中に動物がいるかを確認しないまま隙間を塞いだりする行為は避けてください。そのうえで、対象がいえねずみ類なのか、許可が関係する野生鳥獣なのかを確認し、追い出し、残留個体の確認、清掃と消毒、侵入口の封鎖、経過観察という順番を守って進めましょう。

状況別に、次に読んでいただきたい記事を用意しています。ネズミの痕跡を詳しく確かめたい方は「家にネズミがいる7つのサインを解説!フン・音・痕跡の見分け方と対処法」、音が壁ではなく天井から聞こえる方は「天井裏から足音がするのは何の動物?時間帯・音・フンから見分ける方法」、ハクビシンやイタチなど中型の動物が疑われる方は「ハクビシンが家にいるサイン8選!他の害獣との見分け方と安全な初動」と「イタチ・テン・ハクビシン・アライグマの違い!足跡とフンで見分ける」へお進みください。

ケモノシル編集部

相談のときは「音がした日時と場所」「痕跡の写真」「侵入口らしき場所」の3点を伝えてください。これだけで話がぐっと早く進みますよ。

主な参照資料(公的資料・公益法人資料)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の企業・サービスを推奨するものではありません。掲載した法令・制度・自治体の対応内容は、2026年9月時点の公開資料に基づくものであり、変更される可能性があります。捕獲許可の要否や窓口、自治体の対応範囲は、対象となる動物と地域によって異なります。本記事は専門家の監修を受けておらず、環境省・厚生労働省・NITE・各自治体などの公的機関が公開する資料と、編集部自身の獣害対策および住宅での対応経験をもとに作成しています。本文中の経験に関する記述は編集部個人の経験であり、すべての住宅に当てはまるものではありません。実際の対応にあたっては、お住まいの自治体の窓口など、公的な情報をご確認のうえ判断してください。

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