イタチ・テン・ハクビシン・アライグマの違い!足跡とフンで見分ける

屋根裏で物音がする。天井にシミが出てきた。庭や家庭菜園が荒らされている。ハクビシンなのか、イタチなのか、それともアライグマなのか。姿を見ていないまま、名前だけが浮かんでは消えていませんか。

結論からお伝えすると、アライグマは目の周りの黒いアイマスクと縞模様のあるしっぽ、ハクビシンは鼻筋の白い線と長いしっぽが有力な手がかりになります。一方でイタチとテンは姿が似ており、見た目だけで区別するのは難しい組み合わせです。ただし姿を見ていなくても、足跡・フン・食害痕といった痕跡を照合すれば、候補を絞り込めます。この記事では、4種の違いを同じ項目で比較したうえで、痕跡から絞り込む手順と、捕獲や封鎖を始める前に確認すべき法律・相談先までをまとめます。

野生鳥獣の捕獲等は原則として禁止されており、本記事はわなの設置方法や殺処分の方法を扱いません。屋根や屋根裏、脚立が必要な高所への立ち入りは、転落・粉じん・動物との接触の危険があるため推奨しません。すでに動物が居住空間に入っている、天井がたわんでいる、換気しても消えない強い異臭がある場合は、観察を続けずにお住まいの自治体の鳥獣担当窓口または専門業者へご相談ください。制度に関する記述は2026年9月時点で公式資料により確認したものです。

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ケモノシル編集部

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ケモノシルは、獣害対策と狩猟に特化した専門メディアです。家屋への動物の侵入、農作物の被害、野生鳥獣に関する法令や自治体の制度、狩猟の基礎知識などを発信しています。編集部では、農林水産省・環境省・自治体などの公的機関が公開する資料や学術資料を確認しながら、獣害に悩む方に情報をわかりやすくお届けします。

目次

イタチ・テン・ハクビシン・アライグマの違いを一覧で比較

しっぽの縞模様が見えればアライグマ、鼻筋の白い線と体と同じくらい長いしっぽが見えればハクビシンが候補に挙がります。イタチとテンは体型も毛色も近いため、1つの特徴では絞り切れません。まずは4種の基本情報を同じ項目で並べます。

4種の特徴が一目でわかる比較早見表

判別に直接関わる9項目を横並びにしたのが次の表です。

項目イタチ(ニホンイタチ/シベリアイタチ)テン(ホンドテン)ハクビシンアライグマ
頭胴長ニホンイタチ:雄27〜37cm/雌16〜25cm
シベリアイタチ:雄28〜39cm/雌25〜31cm
40cm前後雌61cm/雄66cm41〜60cm
尾長ニホンイタチ:雄12〜16cm/雌7〜9cm
シベリアイタチ:雄16〜21cm/雌13〜16cm
20cm前後40cm前後25〜30cm
体重ニホンイタチ:雄300〜700g/雌140〜300g
シベリアイタチ:雄650〜820g
雄1.5kg前後/雌1kg前後(ツシマテンでの計測例)3〜4kg程度2〜10kg
顔の特徴口元からあごが白っぽい。シベリアイタチは口から喉が白く、目の周りは胴と同じ色夏は顔が黒っぽく、冬は白っぽくなる黒い頭部に、額の下から鼻先まで白い縦線目の周りを覆う黒いアイマスクと、太くて白いヒゲ
しっぽの特徴ニホンイタチは頭胴長の約4割、シベリアイタチは5割以上頭胴長のおよそ半分。太くふさふさしている頭から胴体と同程度に長い5〜7本程度の明瞭な縞。本数や模様には個体差がある
足跡の特徴5本指5本指。足跡が一直線になることがある前後とも丸い5本指で、分厚い足底球が目立つ5本指で指が長く、人の手に似る
フン・排泄場所の傾向細め。天井裏にためフンが残ることがある細めで、獣毛が混じることがある太め。果実の種が混じりやすく、天井裏でためフンになりやすい太め。天井裏など一定の場所にためフンを作る
最も分かりやすい手がかり小さく細長い体と、口元の白っぽさ季節で変わる顔の色鼻筋の白線と、長いしっぽ黒いアイマスクと、しっぽの縞模様
法的扱いの概要狩猟鳥獣は「イタチ(雄)」。シベリアイタチは長崎県対馬市の個体群を除き狩猟鳥獣/特定外来生物ではない狩猟鳥獣(ツシマテンを除く)/特定外来生物ではない狩猟鳥獣/特定外来生物ではない狩猟鳥獣/特定外来生物に指定

数値は成獣のおおよその目安で、性別・年齢・個体・季節によって変わります(出典:農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル【中型獣類編】」令和6年3月/環境省「アライグマ等防除ハンドブック」/国立環境研究所 侵入生物データベース「チョウセンイタチ」・「ハクビシン」/国土交通省 太田川河川事務所「イタチ(ニホンイタチ)」)。

サイズは「頭胴長」と「尾長」を分けて見てください。尾を含む全長で比べると、しっぽの長いハクビシンやシベリアイタチが実際より大きく感じられます。

編集部でも以前、畑で見た細長い動物を長らくイタチだと思っていましたが、後から別の季節に同じ個体を見て、テンの可能性が高いと気づいたことがあります。冬に顔が白くなったのが決め手でした。表の1行だけを見て納得してしまうと、こういう取り違えが起きます。

分類はイタチ・テンがイタチ科、ハクビシンがジャコウネコ科、アライグマがアライグマ科で、イタチとテンは同じ科のため特徴が重なりやすい組み合わせです。

また、一般に「イタチ」と呼ばれる動物には、在来のニホンイタチと移入種のシベリアイタチ(旧称チョウセンイタチ)が含まれます。ニホンイタチは本州・四国・九州など、シベリアイタチは福井・岐阜・愛知以西の西日本が中心で、法的扱いも同一ではないため一括りにはできません。ハクビシンとアライグマはいずれも外来種で、ハクビシンは青森県以南の広い範囲、アライグマは秋田・高知・沖縄を除く44都道府県で確認されています。

この表を見てハクビシンが有力候補になった方は、ハクビシンが家にいる8つのサインとは?屋根裏の音・フン・侵入口から確認する方法で、家の中と敷地内で気づけるサインを整理しています。通過できる隙間の大きさや、安全に確認できる範囲まで扱っています。

最初に確認するポイント|目撃した場合と痕跡だけの場合

ここから先の読み進め方は、動物の姿を見たかどうかで変わります。次のどちらに当てはまるかを確認してください。

  • 姿や写真がある場合:顔・しっぽ・体型・毛色・動きを見る
  • 姿を見ていない場合:足跡・フン・食害痕・侵入口を見る
  • 共通のルール:1つの特徴だけで断定しない
  • 照合のしかた:複数の独立した情報を突き合わせる
  • 迷ったとき:自治体や専門家に確認する

姿や写真がある方は記事後半「写真や目撃情報から見分ける4つのポイント」へ、姿を見ていない方は次章「フィールドサインの読み方」へお進みください。なお照合するときは、証拠の数ではなく、特徴の明確さや撮影状態も含めて判断してください。

目撃情報・足跡・フンのいずれも、単独では確定の根拠になりません。夜間の目撃は毛色を見誤りやすく、足跡は地面の状態で、フンは食べ物によって見え方が変わります。記録は重ねる前提で始めてください。

なお、この4種以外にタヌキ・アナグマ・ネコとの混同もよく起こります。タヌキはイヌ科で、地面につく指の跡が4本である点が5本指の4種と異なります。アナグマは顔が全体に白く、頭部から目の下にかけて黒い模様が入るため、鼻筋が白く見えてハクビシンと間違われやすい動物です。ネコは爪痕が残らず、足底球がきれいな台形になる点が手がかりになります。顔つきの違いは環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜」の中型獣ページが比較しやすくまとまっています。

庭で見つけたフンが手がかりの場合は、この4種より先に猫・犬・タヌキを候補に入れたほうが絞り込みが早く進みます。7種を同じ項目で並べた比較表と、ためフンで迷いやすいタヌキ・ハクビシン・アナグマの見分け方は家の庭にあるフンは何の動物?比較表で見分ける5つのポイントと安全な処理法で扱っています。

ケモノシル編集部

4種の特徴をすべて覚えようとしなくて大丈夫です。まずは今日、見つけた痕跡の横に定規を置いて1枚撮るところから始めてみてください。

姿を見ていなくても絞り込めるフィールドサインの読み方

姿を見ていなくても絞り込めるフィールドサインの読み方

足跡・フン・侵入口・食害痕は、それぞれ単独では決め手になりませんが、照合すれば候補を狭められます。まずは現場を荒らす前に、記録を残すところから始めてください。

現場チェックリスト(印刷・保存用)

  • 触れない:フンや死体には素手で触らない
  • 装備する:手袋とマスクを着けてから近づく
  • 大きさを残す:定規やコインを横に置いて撮る
  • 周囲も撮る:歩行跡と周辺の状況を入れる
  • 条件を書く:日時・場所・天候・地面の状態

可能であれば、センサーカメラで全身としっぽが映る位置を狙って撮影しておくと、後の判断が大きく変わります。

足跡|指の数・長さ・足底球・歩行跡を組み合わせる

4種はいずれも5本指のため、指の本数だけでは絞り込めません。公的資料で確認できる範囲の特徴を、種ごとに整理したのが次の表です。

種類確認できる足跡の特徴出典
アライグマ5本指で指が長く、人の手に似る。前肢の跡は約5cm程度で、後肢は倍近くになる。歩行跡では前足の脇に後足が付く環境省「アライグマ等防除ハンドブック」/BuNa
ハクビシン前肢・後肢とも丸形の5本指で、分厚い肉球を持つ。爪が小さいため爪痕が残りにくい農水省「中型獣類編」マニュアル
テン5本指。足跡が一直線になることがある同マニュアル フローチャート
イタチ5本指。4種の中では体が小さく、足跡も小さいBuNa/体格は前掲の比較表を参照

農林水産省「【中型獣類編】2-7 獣種の見分け方、フローチャート、それぞれの痕跡の特徴」は、指の本数のほか、足底球の形が円形か半月形か、左右の足が横に並ぶかといった観点で分岐します。ただし対象種にイタチは含まれていないため、イタチとテンの足跡を細部で機械的に区別することはできません。

足跡の見え方は地面の状態に大きく左右されます。乾いた土では爪痕が出ず、雪の上では実際より大きく写り、ほこりの上では指の一部が欠けます。サイズや指の本数だけで結論を出さないでください。

編集部でも、雨上がりの泥の上で見た足跡と、物置のほこりの上で見た足跡が、同じ動物のものとは思えないほど違って見えたことがあります。特にほこりの上では爪痕がまったく出なかったため、そのときの判断は保留にしました。

撮影するときは、足跡の真横に定規を水平に置き、目盛りが読める向きで真上から撮ります。フラッシュは凹凸が飛ぶため、斜めから自然光が当たる時間帯が向いています。寄りと、歩行跡が入った引きの2枚を残すと後から判断しやすくなります。

フン|形・内容物・場所・ためフンから絞り込む

4種のフンを比較できる実写風の再現画像

フンは「大きい・小さい」だけで判断されがちですが、実際には形・内容物・場所を合わせて見る必要があります。次の順で確認してください。

  • 太さと長さ:太めか細めかをまず分ける
  • 両端の形:片側だけ細くなっていないか
  • 内容物:果実の種か、獣毛が混じるか
  • 発見場所:天井裏・石の上・土のくぼみなど
  • ためフン:同じ場所に繰り返しているか

果実の種が目立つ太めのフンが天井裏にたまっている場合はハクビシンやアライグマ、獣毛が混じる細めのフンはイタチやテンが候補に入ります。ハクビシンはねぐらの中で排泄する性質があり、糞尿が堆積して天井板が落ちた事例も報告されています。

ただし同じ資料は、フンが時期や食べ物によって色や形状が変わり、このフローがすべての条件に当てはまるわけではないと明記しています(出典:農林水産省「【中型獣類編】2-7 獣種の見分け方」、前掲)。フン1つで動物を確定しないでください。

侵入口と足音|場所・大きさ・時間帯は補助情報として扱う

建物への侵入は、床下の通風口など地面に近い場所と、軒の破損部や瓦屋根のすき間、増改築の継ぎ目といった上部が狙われます。特に床下では通風口からの侵入が最も多いとされています。ハクビシンは6cm×12cmのすき間があれば侵入でき、体の小さいシベリアイタチは3cmほどの穴や隙間からでも入り込みます。

ただし、侵入口の大きさから種類を決めることはできません。次の点に注意してください。

  • すき間の大きさ:幼獣や個体差で必要幅が変わる
  • 建物の破損:壊して穴を広げられる場合がある
  • 活動時間:4種とも夜間中心だが昼も動く
  • 登る能力:4種とも登るため絞り込めない

「木に登っていたからハクビシン」といった判定は避け、侵入口と足音は他の情報を補強する材料として扱ってください。

なお、天井裏の音だけが手がかりという段階なら、この4種に加えてネズミ、コウモリ、鳥まで候補に入ります。音の種類や時間帯、フンの位置から候補を整理する手順は天井裏から足音がするのは何の動物?時間帯・音・フンから見分ける方法にまとめています。

なかでもネズミは、かじり跡や壁沿いの黒いこすり跡といった、この4種には出ない痕跡が残ります。さらにドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミのいえねずみ3種は鳥獣保護管理法の対象外で、捕獲に許可が要らないという法令上の違いもあります。小さく速い足音が続く場合は家にネズミがいる7つのサインを解説!フン・音・痕跡の見分け方と対処法もあわせてご確認ください。

食害痕・撮影記録|複数の証拠を重ねて判定精度を上げる

畑や庭の被害では、何を食べたかよりも「どう食べたか」に種の差が出ます。アライグマはすいかに直径5〜6cmの穴を開け、前肢を使って中身だけをくりぬきます。ぶどうでは袋を裂いたように破り、前肢で触れた跡が汚れとして残り、乱暴な動きで枝折れも起こります。

ハクビシンはとうもろこしの軸を登って器用に皮をむき、粒の薄皮が軸に残ります。みかんやナシは枝先まで行って実を直接食べるため、枝先に実の上部が残ります。ぶどうやトマトのように外皮が口に残るものは、皮だけを吐き出します。一方でテンは、かき程度の大きさなら持ち去って別の場所で食べることが多く、ぶどうは袋を破いてその場で皮ごと食べるため皮がほとんど残りません(出典:農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル【中型獣類編】」)。

ただし食害痕にも種間の重なりがあり、これ1つで確定はできません。集めた情報の性質を整理したのが次の表です。

情報の種類性質扱い方
センサーカメラの映像確からしさが高まりやすい全身としっぽが映れば候補を大きく絞れる
特徴的な食害痕確からしさが高まりやすいすいかのくりぬきなど、行動と結びつくもの
鮮明な足跡(歩行跡つき)確からしさが高まりやすい指の長さと並び方が確認できる場合
フン単独では判断材料になりにくい季節と食べ物で変化するため補助扱い
侵入口の大きさ単独では判断材料になりにくい幼獣・破損状況で変わる
足音・活動時間帯単独では判断材料になりにくい4種で重なりが大きい

編集部の場合、痕跡だけで3週間悩んでいたものが、センサーカメラを侵入口の正面に置いた数日で見当がつきました。ただし最初の設置では逆光でシルエットしか残らず、しっぽが確認できませんでした。全身としっぽが入る高さと角度を意識するだけで、得られる情報がまったく変わります。

足跡、フン、食害痕、撮影記録など、できるだけ複数の独立した情報を照合します。ただし、証拠の数だけで判定せず、特徴の明確さや撮影状態も含めて判断してください。ぼやけた写真が3枚あるより、しっぽ全体が写った映像1本のほうが判断材料になります。

ケモノシル編集部

証拠は数を集めれば正解に近づく、というものではありません。ぼやけた3枚より、しっぽが写った1枚です。

写真や目撃情報から見分ける4つのポイント

写真や目撃情報から見分ける4つのポイント

姿を見た、あるいは写真が撮れた場合は、顔・しっぽ・体つき・動きの4点を順番に確認します。1点ずつでは迷う場面でも、4点の答えが揃えば候補は絞れます。

顔を見る|鼻筋の白線、黒いアイマスク、口元の色

4種の顔を比較できる写真風画像

顔は4種の差が最も出やすい部位です。アライグマは目の周りを覆う黒い部分がマスクのように見え、ヒゲが太く白いのが識別点とされています。ハクビシンは頭部が黒っぽく、額の下から鼻先へ抜ける白い縦線が入ります。テンは夏に顔が黒っぽく、冬になると白っぽく変わります。イタチは口元からあごにかけて白っぽく、シベリアイタチでは口から喉が白い一方、目の周りは胴体と同じ色です。

ただし、光の当たり方で模様が飛んだり、影がマスクのように見えたりします。夜間のライト撮影や逆光のシルエットでは、白線の有無を判断しにくくなります。顔だけで決めず、しっぽの確認に進んでください。

しっぽを見る|輪模様、長さ、太さを比較する

4種の顔としっぽ全体を比較できる、実写風の画像

4種の中で最も強い識別点になるのが、アライグマのしっぽに入る縞模様です。5〜7本程度の明瞭な縞が入りますが、本数やパターンには個体差があるとされています。それでも、はっきりした縞が確認できればアライグマの可能性はかなり高くなります。

ハクビシンは、頭から胴体と同程度の長いしっぽを持つ点が手がかりです。イタチとテンのしっぽは長さや太さが近く、ここだけでの区別は難しくなります。目安として、しっぽが頭胴長の半分以上あるかどうかは、ニホンイタチとシベリアイタチを分ける観点として環境省「狩猟鳥獣の見分け方」でも示されていますが、写真の角度によって見え方が変わるため単独では使えません。

体の大きさと毛色を見る|性別・年齢・季節による違いに注意

全身としっぽ、テンの夏毛・冬毛を比較できる写真風画像

「細長い」「ずんぐりしている」という印象だけで判断すると、イタチとテンの区別で迷います。頭胴長と尾長の比率で見ると整理しやすくなり、ニホンイタチはおよそ4割、シベリアイタチは5割以上、テンは半分ほど、ハクビシンはほぼ同じ長さのしっぽを持ちます。

毛色で気をつけたいのがテンです。夏毛は顔が黒く体が茶褐色ですが、冬毛では顔が白くなり体は明るい黄色に変わるため、季節が違えば別の動物に見えます。イタチについても、環境省の誤認捕獲防止資料では、雌は雄より濃い色になる傾向があり、大きさは雄の1/2〜2/3程度と説明されています。色と大きさは性別・年齢でも動くと考えてください。

遠近感のない写真では手前の小さな個体が大きく見えます。ブロックや缶など寸法が分かるものが同じ画面に写った写真を優先してください。

動きと活動場所を見る|木・電線・地面のどこを移動するか

移動の仕方には体のつくりの違いが表れます。アライグマは手のように使える前肢で体を引き上げ、ハクビシンは爪が小さいため分厚い肉球を押し付けて挟むように上り下りし、細い電線も渡ります。テンは太い木を垂直に登り、細い枝を渡り、木から木へ跳ぶこともできます。

ただし4種はいずれも登る能力を持ち、行動には重なりがあるため、動きは補助的な判断材料にとどめてください。なお本記事では、跳躍の高さなどを数値で示す表現は、信頼できる一次資料で確認できるものに限っています。

最後に、誤認しやすい組み合わせと理由を整理します。イタチとテンは体型・毛色・足跡が重なるうえ、テンの毛色が季節で変わることが混乱を招きます。ハクビシンとアライグマは、顔に白い部分があり、屋根裏を使い、果樹を荒らすため被害の出方が似ます。ハクビシンとタヌキ・アナグマは、鼻筋が白く見える点と体格の近さが原因で、農業者がハクビシンをタヌキやアライグマと思い込んでいる例も指摘されています。迷う場合は前半の痕跡の照合に戻ってください。

種類で異なる住宅・農作物被害と安全上の注意

種類で異なる住宅・農作物被害と安全上の注意

被害の出方には種ごとの傾向があり、そこから逆に候補を絞れることもあります。同時に、痕跡に触れる作業には衛生上の注意が必要です。

住宅被害|糞尿汚染・悪臭・天井材や断熱材への被害

屋根裏や壁のすき間をねぐらや出産・子育ての場として使う種では、糞尿による汚染と騒音が中心的な被害になります。ハクビシンはねぐらの中で排泄するため糞尿が堆積し、天井板が落ちる被害にまで発展した事例が報告されています。アライグマも神社仏閣や人家の屋根裏、壁のすき間を休息や子育てに使い、爪痕や糞尿、破壊行為が問題になります。

シベリアイタチのように、糞尿の悪臭、足音による安眠妨害、ノミ・ダニによる咬傷といった、数値化しにくい被害が主になる種もあります。4種すべてに同じ被害が同じ頻度で起きるわけではありません。

農作物・家畜被害|狙われやすい作物と食べ方の違い

全国の農作物被害額を種別に見ると、令和6年度はアライグマが約6億9千万円、ハクビシンが約4億8千万円、タヌキが約1億6千万円でした。アライグマは野菜と果樹、ハクビシンは果樹と野菜への被害が大きい構成です。一方でテンとイタチの全国被害額は、個別の項目としては公表されていません(出典:農林水産省「農作物被害状況(令和6年度)」)。

作物名の一致だけでは絞り込めないため、食べ方の差を見てください。種ごとの食害痕の違いは前章で扱ったとおりです。加えて、ハクビシンは土を掘って餌を取る行動をしないため、落花生の被害はタヌキやアナグマの可能性が高いとされています。テンでは、鶏舎への侵入によるニワトリや卵の被害も報告されています。

フン・死体・ノミやダニに触れない|清掃時の安全対策

野生動物は人獣共通感染症の病原体を保有している可能性があるため、清掃や確認の作業では次の点を守ってください。

  • 素手で触れない:フン・死体・血液・唾液に触らない
  • 装備を整える:手袋とマスクを着け肌を出さない
  • 粉じんを避ける:乾いたフンは湿らせてから扱う
  • 後始末をする:衣類と機材を洗浄・消毒する
  • 体調を見る:異常があれば医療機関に相談する

使用する消毒方法は、自治体や公的機関の案内を確認してください。地域の相談先は農林水産省「鳥獣被害対策コーナー」から自治体のページをたどれます。咬まれた、引っかかれた、発熱や倦怠感などの症状が出た場合は、様子を見ずに医療機関を受診してください。動物の死体を見つけた場合の処理方法も、自分で判断せず自治体の窓口に確認するのが確実です。

マダニにも注意が必要です。マダニが媒介する感染症には日本紅斑熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)があり、これまでの調査ではアライグマ、タヌキ、アナグマ、ハクビシンからSFTSウイルスの抗体が見つかっています。ただし、感染していても発症していない動物が多い一方で、すべてのマダニが病原体を持つわけではないとも説明されています。屋外での作業後はすぐに入浴して全身を洗い、衣服を交換してください(出典:農林水産省「【中型獣類編】」、前掲)。服装や忌避剤など具体的な防ぎ方は、国立健康危機管理研究機構(JIHS)「マダニ対策、今できること」が参考になります。

有力候補が絞れた後にすべきこと|捕獲ルールと対策の進め方

有力候補が絞れた後にすべきこと|捕獲ルールと対策の進め方

野生鳥獣の捕獲は原則として禁止されており、種類の見当がついても自由に捕まえられるわけではありません。全国共通のルールと地域ごとのルールを分けて確認したうえで、記録・相談から順に進めてください。

野生鳥獣の捕獲は原則禁止|狩猟と許可捕獲の違い

鳥獣保護管理法では、鳥獣および鳥類の卵の捕獲等が原則として禁止されています。例外にあたるのが「狩猟」と「許可捕獲」で、アライグマについてはさらに外来生物法に基づく「防除」という枠組みがあります。3つの違いを整理したのが次の表です。

区分目的必要な資格・手続き実施できる期間
狩猟問わない狩猟免許の取得と、狩猟する都道府県への狩猟者登録(狩猟税の納付)猟期(北海道以外は11月15日〜翌年2月15日、北海道は10月1日〜翌年1月31日)。対象種や都道府県により延長・短縮あり
許可捕獲生活環境・農林水産業・生態系に係る被害の防止、学術研究など都道府県知事または市町村長等の許可。従事できる人の条件は許可の内容による通常の猟期外に実施できる場合がある。実施期間は許可の内容による
防除(アライグマなど特定外来生物)特定外来生物による被害の防止外来生物法に基づく防除の公示、または確認・認定。手続きを経れば鳥獣保護管理法の捕獲許可は不要通常の猟期外に実施できる場合がある。実施期間は防除計画の内容による

期間も従事できる人の条件も、許可や計画ごとに個別に決まります。全国一律のルールではない点に注意してください(出典:環境省「狩猟制度の概要」/「捕獲許可制度の概要」/「防除に関するQ&A」)。

主要な機材である箱わなも、どの枠組みで使うかで条件が変わります。狩猟として使う場合は、わな猟免許と狩猟者登録が必要です。一方、許可捕獲や自治体の防除計画に従事する形であれば、講習の受講や従事者登録を条件に、狩猟免許のない住民へ箱わなを貸し出す制度を設けている自治体もあります。

いずれにしても、市販の箱わなを買って自宅に設置するだけでは適法になりません。まず市区町村の担当窓口に相談してください。何課に連絡すればよいか、箱わなの貸出や捕獲個体の回収をどこまで市が担うかは自治体で異なるため、相談前に害獣被害は市役所に相談できる?対応範囲・窓口・5つの支援で対応範囲の目安を確認しておくと、窓口でのやり取りが一度で済みます。制度の全体像や地域の相談先は農林水産省「鳥獣被害対策コーナー」(前掲)からたどれます。

狩猟鳥獣としての扱い|イタチの性別・テンの亜種・地域差に注意

4種はいずれも狩猟鳥獣ですが、その指定のされ方は種によって異なります。次の除外規定を正確に押さえてください。

  • イタチ:狩猟鳥獣は雄のみで、雌は対象外
  • テン:ツシマテンを除く
  • シベリアイタチ:長崎県対馬市の個体群を除く
  • アライグマ・ハクビシン:ともに狩猟鳥獣に含まれる
  • 都道府県ごとの制限:捕獲禁止や頭数制限があり得る

つまり「狩猟鳥獣だから、いつでも誰でも捕獲できる」わけではありません。狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられることがあります。狩猟をする際は、登録する都道府県に制限の有無を必ず確認してください(出典:環境省「狩猟制度の概要」/「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜」、いずれも前掲)。

ここで注意したいのは、この性別・亜種・地域による制限が狩猟についての話である点です。被害防止を目的とする許可捕獲は制度が異なり、対象や条件は許可権限者である都道府県・市町村の判断によります。「イタチの雌はいかなる場合も捕獲できない」といった一律の理解は正確ではないため、実際に捕獲を検討する段階では窓口に確認してください。

また、イタチの雌は外見から雄と見分けにくく、環境省の資料も判別に自信が持てないときは捕獲をやめるよう呼びかけています。狩猟の現場では、確信が持てない場合に見送る判断が必要です。

アライグマは特定外来生物|捕獲後の保管・運搬にも規制がある

アライグマは外来生物法に基づく特定外来生物に指定されています。この法律では、飼育・栽培・保管・運搬(あわせて「飼養等」)と、野外へ放つことが原則として禁止されます。捕獲した個体を持ち帰る行為は運搬にあたるため、規制の対象です。一方で、野外で捕まえた個体をその場ですぐ放すことは規制対象になりません。

捕獲したアライグマを生きたまま保管・運搬する場合は、原則として外来生物法上の適法な手続きが必要です。鳥獣保護管理法に基づく許可捕獲や狩猟を行う場合でも、生体の運搬が当然に認められるとは限りません。環境省は、生きたまま保管または運搬する必要がある場合には、都道府県であれば防除の公示、市町村や民間事業者等であれば防除の確認・認定の手続きを事前に行うことでそれが可能になると説明しています。捕獲方法、処分方法、自治体の防除計画によって扱いが異なるため、捕獲前に自治体へ確認してください(出典:環境省「特定外来生物で規制される事項」/「防除に関するQ&A」、前掲)。

手続きの窓口は環境省「地方環境事務所等 連絡先一覧」から確認できます。地域ぐるみの防除の進め方は環境省「アライグマ防除の手引き」にまとまっています。

記録・相談・追い出し・封鎖|自力対応と専門業者の使い分け

建物への侵入被害が出ている場合、進める順番は次のとおりです。

  1. 足跡、フン、侵入口、目撃日時を写真とメモで記録する
  2. 市区町村の鳥獣・環境・農政担当に、制度と手続きを確認する
  3. 屋根裏や床下に親子や幼獣がいないかを確認する
  4. 法令と安全に配慮して追い出す
  5. センサーカメラや新しい痕跡の有無で、全個体が出たことを確認する
  6. 侵入口を封鎖する
  7. 糞尿の除去、消毒、断熱材などの補修を行う

重要なのは、追い出した後にもう一度不在を確認してから封鎖する点です。封鎖の資材は金属板や板など丈夫なものを選び、樹脂ネットや薄い合板は破壊される可能性があるため使いません。人の目で確認できる穴は確実に侵入されるため、床下の通風口や軒の破損部を含めて点検します(出典:農林水産省「【中型獣類編】」、前掲)。

失敗として多いのが、動物が中にいる状態で侵入口を塞いでしまうケースです。閉じ込められた個体が天井裏で死ねば、悪臭と衛生被害はむしろ悪化します。親だけを追い出して幼獣を残す、無許可でわなを設置するといった対応も、被害の長期化や法令違反につながります。

次のいずれかに当てはまる場合は、自力対応が難しくなります。

  • 高所作業が必要:屋根や脚立での確認が要る
  • 侵入口が不明:出入り口を特定できない
  • 建物が傷んでいる:天井材の傷みや被害範囲が広い
  • 子育て中の可能性:複数の鳴き声がする
  • 接触の危険:動物と直接向き合う場面がある

点検や封鎖には建築の知識も求められるため、専門の防除業者に依頼する判断も現実的です。

手順の具体的な進め方は、畑と住宅で自分でできる害獣対策の4つの手順で、記録・餌場の除去・追い出し・侵入防止の順に解説しています。

高所や屋根裏の確認が必要な場合、幼獣がいる可能性がある場合は、自分で捕獲や封鎖をせず、動物種と侵入口を現地で確認できる専門業者、またはお住まいの自治体の鳥獣担当窓口へご相談ください。

ケモノシル編集部

窓口に電話するときは「屋根裏に動物が入っている」「畑が荒らされている」と用件を先に伝えると、担当部署へ早くつながりますよ。

まとめ:複数の証拠から種類を絞り込み、捕獲前に自治体へ確認しよう

絞り込みの手順は3段階です。まず、見た目・足跡・フン・食害痕を、定規を添えた写真と日時のメモで記録します。次に、1つの特徴だけで決めず、できるだけ複数の独立した情報を照合します。このとき証拠の数だけで判定せず、特徴がはっきり写っているか、撮影状態は十分かも含めて判断してください。そして、捕獲や封鎖を始める前に、市区町村の担当窓口へ手続きを確認し、屋根裏や床下に動物や幼獣が残っていないかを確かめます。追い出した後にもう一度不在を確認してから塞ぐ、この順番を守るだけで、無許可捕獲や閉じ込めといった失敗の多くは避けられます。

状況別に、次に読んでいただきたい記事をご案内します。屋根裏で物音がしている方は天井裏から足音がするのは何の動物?時間帯・音・フンから見分ける方法で、ネズミやコウモリまで含めた候補の整理と、安全に確かめる手順を確認してください。ハクビシンが有力候補になった方はハクビシンが家にいる8つのサインとは?屋根裏の音・フン・侵入口から確認する方法で、家の中と敷地内で気づけるサインと初動の進め方を扱っています。小さく速い足音が続くなら家にネズミがいる7つのサインを解説!フン・音・痕跡の見分け方と対処法もご覧ください。

ケモノシル編集部

相談のときは「痕跡の写真」「見つけた日時と場所」「侵入口らしき場所」の3点を伝えてください。これだけで話がぐっと早く進みますよ。

主な参照資料(公的資料・学術資料)

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の企業・サービスを推奨するものではありません。掲載した法令・制度・自治体の対応内容は、2026年9月時点の公開資料に基づくものであり、変更される可能性があります。狩猟鳥獣の指定、捕獲許可の窓口、自治体の対応範囲は、対象となる動物と地域によって異なります。本記事は専門家の監修を受けておらず、農林水産省・環境省・国立環境研究所などの公的機関が公開する資料と学術資料を中心に、編集部が確認して作成しています。実際の対応にあたっては、お住まいの自治体の鳥獣担当窓口など、公的な情報をご確認のうえ判断してください。

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